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企業レポート
清掃の質がこれからのマンション管理業務の最重要事項
コミュニティセンター便り第63号-2020年9月1日発行
第63号では、8月 5日に本社研修センターで行われた日常清掃研修の様子と、同研修の講師を務めた林修二さん(当社関西支店人材開発室)のインタビューを掲載します。
Table of Contents
日常清掃研修リポート
8月 5日、午後 1時から 5時まで、本社研修センターで日常清掃研修(参加者 18人)が行われました。
同研修は、清掃の質がこれからのマンション管理業務の最重要事項であるとの認識のもとで企画されたものです。
清掃の質が上がれば、居住者さまはもちろん、管理組合、管理会社にも喜んでいただけます。
管理代行スタッフとしても、清掃作業の内容が評価されることはうれしいことです。
居住者さまをはじめとする関係者との信頼関係を築く最短距離ともなるでしょう。
今回の日常清掃研修の講師は、当社関西支店人材開発室の林修二さんが務めました。
林さんはビルやマンションにおける長年の豊富な清掃作業の経験を基に、「モップ絞り器を使った水拭きよりも湿り拭きを」「洗剤や清掃器具の使い分けがポイント」など、実践に裏付けられた具体的なアドバイスを織り交ぜながら解説。同研修は、実際の現場のニーズや状況に応じた清掃作業のノウハウや考え方を共有する貴重な時間となりました。
日常清掃研修の主なプログラム
1-映像視聴:マンションの日常清掃の概要
2-マンションの日常清掃について
①清掃個所とチェックポイント
②基本的な清掃方法
③主な清掃重点個所と清掃方法
④固定契約物件における日常清掃定期点検チェックシート
⑤添付資料の説明(マンション共有部の名称)
⑥映像視聴:具体的な清掃方法など
3-補足資料の説明
①床面のモップによる水拭きについて
②マンションの管理用品・清掃資機材
③「おそうじ虎の巻」
4-実技
①床面掃き(自在ほうき)
②床面モップ拭き(ワンタッチモップ)
林修二さんインタビュー
Q清掃の質を上げるために必要なものは?
どのマンション管理会社も清掃に力を入れています。
マンション管理業務で他社に勝とうとすれば、清掃の質で差を付けるしかないんですね。
清掃の質は、お客さまの顧客満足度で一番喜ばれるものでもあります。
マンションを管理している会社は清掃資機材も買えますし、子会社にも「これで清掃しなさい」と渡します。
つまり清掃のための予算がしっかりとあるということです。
マンションを管理するための予備費もあります。
しかしそうでない場合、この清掃資機材をどのように調達するかが課題になります。
清掃のノウハウや技能と共に、これをクリアしないと清掃の質を上げることができません。
Q清掃業務予算獲得のポイントは?
代行の場合は、1~2日といった短い時間での対応の場合が多いですよね。
そういうマンションでも代行スタッフの皆さんは一生懸命清掃されていますが、固定契約物件のように数カ月、1年といった長期にわたる管理業務を委託された場合には、さらにしっかりとした清掃ができるようになります。
ですからそのような場合には、最初に清掃に対する計画を立てて、どの程度の対応をするのか、そのための予算はどうなのかといったことを考えなければなりません。
そしてマンションの管理会社やマンションの管理組合にその必要性を理解してもらわなければなりません。
見違えるようにきれいにすれば、管理会社や管理組合側もその実績を認めて予算も取るようになります。
その点で、マンション日常清掃チェックシートの評価基準もいいか悪いかをはっきりさせる項目にしなければなりません。研修の中でも紹介したように、実際に清掃の成果が認められて予算を確保したという事例があります。
とにかく清掃の質が重要です。清掃に力を入れなければなりません。どの会社も力を入れていますが、私たちはそれを「徹底的に」やる必要があるのです。
Q代行スタッフの皆さんに伝えたいことは?
ビルの場合もそうですが、今までマンションの清掃というと、床ばかりをきれいにするという感覚が強かったと思います。
しかしこれからは壁面など、目に見える部分をきれいにしなければなりません。
特にマンションはエレベーター内にしても金属部分が多いんです。
手すりもそうですし、玄関の枠もそうです。
金属部分が多い。ですから金属の磨き方が重要になってきます。
玄関にも第一扉、第二扉というように、エントランスを入るとまた扉がありますね。ステンレスばかりです。
金属部分やガラスの部分は、そこが光っているかどうかがポイントです。
過去の清掃はいかに床をきれいに磨くかということでした。
しかしこれからは、横や上の壁面の清掃を重視していかなければいけないと考えます。
そうしいないと競争に負けてしまいます。
その点でも清掃に対する予算を確保することが大事になってくるのです。
ですから、まずは実際にきれいにし、それを見ていただくことです。清掃の重要性を認識していただき、予算を計上できるようにしなければなりません。
林 修二氏(73歳):
当社関西支店人材開発室ビルクリーニング技能士、建築物環境衛生管理技術者、建築物清掃管理評価資格者、管理業務主任者株式会社セイビ大阪(ビルメンテナンス業)、株式会社東急コミュニティ(60歳定年退職)、野村リビングサポート株式会社(70歳定年退職)に勤務。
その後、当社へ
Q林さんの清掃に懸ける熱意の源は?
元をたどれば、就職に失敗して、職業を転々とした結果、清掃と出合ったんですね。
これから伸びる仕事はビルメンテナンスだと考えて、35歳の時にビルメンテナンス会社に就職しました。
35歳から清掃を始めて、40歳の時に自分で清掃会社を始めようと決心しました。
それまで大阪の大きなビルの所長をしていたのですが、そこを辞めて独立しようと考えたのです。
ところが妻の理解が得られなかったんですね。それで独立の道は消えてしまいました。
下請け会社の社長から「林さん、辞めてどこいくの?」と聞かれて、「自分もあなたと同じように会社をやろうかと考えていたが、妻に反対されたから諦めるしかない。今、路頭に迷っているんだ」と答えました。
するとその社長が「清掃に詳しい人を探していたんだ」と言うんですね。
私は清掃を8年ほどやってきていましたので、その社長の紹介がきっかけでマンション管理会社に勤めるようになったのです。
その会社が大阪に出てきて数年の頃です。マンション管理業界が伸びていく時期でした。
それで思い切ってマンション管理業界に飛び込んだというわけです。
そんないきさつで、清掃の分野で長く仕事を続けてきました。
いろいろなかたにお世話にもなりましたので、今は恩返しのつもりで清掃に関する経験や知識、技術を伝えられたらと思っています。
当社の雰囲気もいいですからね。前社長もいい人でしたし、ここで頑張ろうという気になりました。
中川社長もやる気満々ですし、自分の持っているものが役に立つなら、貢献したいという気持ちを強く持っています。
Q林さんにとってずばり「清掃」とは?
目に見えるものが重要です。やはりきれいにすることでお客さまに喜んでもらえます。喜んでももらえればこちらもうれしいですよね。きれいになればもっときれいにしたいと思うものです。
あるマンションで管理業務の時間を減らすという話があったときにも、時間が減れば清掃の質が保てない、グレードも下がりますよと話したところ、業務時間を減らさず、清掃を優先しようということになったケースもあります。
最初はあいさつも声掛けもありませんでしたが、きれいになっていくと居住者さまからの声掛けやあいさつも増えてきたというケースもあります。
きれいになれば、住んでいる人も気持ちがいいので清掃を一生懸命やってくれる人に声を掛けるようになるものです。
僕らも喜んでもらえればうれしいですし、どんどん前向きな気持ちになっていくんですね。
Qコロナ時代の清掃の在り方は?リモートでできないのが清掃です。
清掃の仕事は毎日確実にしなければなりません。
清掃というのは手抜きをしたらすぐ分かります。
人の性格もすぐ出ます。ですから研修が重要なのです。
研修を通して清掃についてしっかり学んでもらえれば、どのような清掃をすべきかが分かってきます。清掃も基礎が大事です。
お寺の修行も掃除からですよね。自分なりではいけません。
研修することで身に付くものが清掃の技術です。
清掃はマンション管理業務の基礎の基礎だと考えています。
ですから教育の第一が清掃だといっても過言ではないと思います。研修の意義の本質もそこにあると思っています。
日常清掃研修での社長のあいさつから
まずは「清掃」から社内の知見の共有を
知の共有を目的に今回このような日常清掃研修の場を持ちました。
現場からのリポートを見ると、ポイント清掃をすることで管理員やマンション管理組合の理事長さまから評価や信頼を得られたといった報告が多く聞かれます。
現場を回ってみても、清掃に関するエピソードが印象に残っています。そのような結果から、今後、清掃作業に力を入れていきたいと考えています。
今回の清掃に関連する内容はもちろん、今後もすでに社内にある知見を皆で共有して、マンション管理業務における全体のブラッシュアップ、レベルアップ、グレードアップを図りたいと思っております。
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