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レポート

マンション管理代行のパイオニアからクオリティーリーダーへ

コミュニティセンター便り特別号-2020年6月15日発行
特別号では、中川弘規新社長と菅利惠顧問(前社長)にお話を伺いました。
ウェブサイトでは、紙面には収めきれなかった中川新社長の就任経緯なども掲載しています。

◆菅利惠顧問インタビュー

Q社長時代を振り返って

「『生きがい、やりがい、健康、そして収入』をモットーに働いていただくということを一番に考えてやってきました」

私は前職が公務員で最終的に高齢者福祉事業を担当し介護保険制度の導入に携わりました。
介護保険の対象者は後期高齢者がほとんどであり、60歳から70歳前半の元気で活力溢れるシニア世代の今後の仕事としてこのような業務が最適だと考え、コミュニティセンターを引き継ぎました。

ですからシニアの経験や知識を社会に還元すること、当社のキャッチフレーズである「生きがい、やりがい、健康、そして収入」をモットーに働いていただくということを一番に考えてやってきました。

首都大学東京の星旦二先生(現名誉教授)との出会いがあり、働き続けること、人に喜ばれることが自己の肯定感につながり、それがやりがいや生きがいになる、しかもそれが健康も増進するということが科学的・学問的に証明されたことが一番うれしかったですね。

Q今回、事業承継としてファンドに全株を譲渡、代表から退くことを決断した経緯について

事業の承継については65歳ごろから意識し始めました。最初の段階では身内での承継も考えていたのですが、他の事例を見ると、20年がかりで行っているケースが多いのです。私の場合、社長としてのスタートがそもそも 53歳からでしたので、そんなに時間をかけられませんでした。

「個人商店」としては伸ばせるところまで伸ばせたと思っています。
さらなる発展を考えると、もっとしっかりとした土台となる組織基盤そのものから整備しないといけないと思います。外部の力を借りてでも、きちんとした組織をつくって運営していかなければなりません。
そのような体力と経験と知識を持たなければこれ以上は伸びないと判断しました。

私も今年で古希を迎えます。年齢的にも、900人の登録スタッフさん、50人の社員、そしてご家族を加えるとその数の 3倍もの人たちに影響がいくわけですから、これはもう急がないといけません。

そのような考えの中で昨年の夏にM&Aによる事業承継を決意し、半年ほどの短い期間でしたが、事業承継を進めました。
事業承継先がJPE社(日本プライベートエクイティ株式会社)になったのは、当社にはいろいろなお得意さまがいますので、どこかの事業傘下に入る、いわゆる色がつくというかたちは避けたいと考えたからです。

JPE社であれば、公的なファンドですし、東京都の事業承継ということで、お客さまにも安心していただけるのではないかと思います。
JPE社から当社に関するリポートもいただきましたが、当社についてしっかりと分析しており、前向きな評価をしてくださいました。
TOKYOファンド(TOKYO・リレーションシップ1号投資事業有限責任組合)であれば発展性があると判断しました。

これからの時代に必要な新しい価値観で皆がまとまっていくことが重要

Q中川弘規新社長に期待することは?

中川新社長は非常にバイタリティーに溢れています。
物事の吸収が早くて驚いています。中川社長にとっては今までのお仕事とはジャンルが違うと思うのですが、一度お話しするとすぐ理解されますし、事業経営に対する経験、知識をしっかりと持っているかたです。いいかたに継いでいただいたと、本当に安心しています。

このようなコロナ禍の時期の承継となり、中川社長には大変申し訳ないと思っているのですが、一方で、今までの当社の体力や能力ではこの危機を乗り越えるのは簡単ではありませんので、社としてはいいかたにバトンを渡せてラッキーだったと思っています。

当社は企業としての危機管理が十分にできていません。「3.11」後に、所在安否確認のシステムを導入したり、防災の備品を用意したりしましたが、これからは災害対策にとどまらず、しっかりとした企業としての全体的なリスクマネジメントが必要です。

コロナ禍をきっかけに社会は大きく変わっていくでしょう。自分たちでアイデアを出し合い、新事業を創出していく、そのような力を一人一人が持たないといけないと思います。中川社長は一人一人の力を引き出す力があり、本当に感心しています。

皆が一つになって同じ目標に向かって導いていく力が必要だと思います。
当社は中途採用が基本で年齢も出身母体も価値観も違う中で、一つの目的に向かってベクトルを合わせるのに苦心しました。
これからの時代に必要な新しい価値観で皆がまとまっていくことが重要です。
私ができなかったことを、中川社長に託したいと思います。必ずや実現していただけると確信しています。

Q管理会社さま、登録スタッフの皆さま、社員への思いを

シニアの働き方として非常にいいものを構築できたと思っています。
生きがい、やりがい、自分を輝かせること、そのような働き方を実現できたと自負しています。
しかし過去の栄光に甘んじることなく、次の時代を考えて新しい価値観というものを皆の知恵を集めて構築していかなければなりません。
スタッフの皆さんもいろんな知恵やアイデアを持っておられると思います。
皆さまにはぜひそこに力を貸していただきたいと思います。

◆中川弘規新社長インタビュー

Q 今までどんな仕事人生を?

大学卒業後、最初の2年半は損害保険会社で法人向けの営業を担当していました。
24歳でオリックスに入り、48歳までの24年で6部門、勤めました。
振り返ってみると、27歳の時に手帳に書いた自分のキャリアビジョンどおりに異動させていただけたと感謝しております。
最初の配属は地方支店を希望し、福井支店で営業を行いました。多くのグループ商品を学びセールスし、3年目には支店で一番稼げるようになっていました。

「人生100年時代のシニア向けビジネスモデルを創出したい」
「将来、社長になる」と手帳に書いたのは27歳の時

その頃で思い出深いのは、98年4月の新入社員研修を94年卒の同期仲間と1週間行い、中途ながら同期の代表チェアマンを引き受けて担当したことです。
元々体育会出身で、中学サッカー、高校大学とアメフトをやっていましたし、人との協調やチームみんなで何かやろうぜといったことが好きな方でしたので向いていたのかもしれません。

人事部からの要請でしたが、オリックスの転職成功者として取材を受けて、その内容が『AERA』に掲載されたこともいい思い出です。

そんな中、27歳で東京の営業一部への異動がかないました。当時のオリックスの中核営業部で、現在のコアビジネスとなっている新規ビジネスの立ち上げセクションでした。
その時期に携わった仕事の一つがエネルギー関係の事業の立ち上げでした。オリックスグループにとっても初めての仕事でした。風力発電やESCO(エスコ/Energy Service Company)事業や、工場での自家発電、電気を供給するようなJV(ジョイント・ベンチャー)の立ち上げに関わりました。全国の営業とも同行し業績拡大に寄与しました。大変いい経験をさせていただきましたね。

31歳からは、関西学院大学の大学院のMBAコースで夜間学びながら、昼は大阪の優良企業を担当する法人セクションで仕事をしました。新しい組織もできて、大手の顧客をたくさん集めていただき、担当しました。ビジネスマッチングなど、横断的なものをつくり上げていく中核メンバーをさせてもらうなど、ここでもいろいろな経験ができました。

27歳の時、手帳に「35歳でオリックスの社長室へ異動希望」と書き、FA宣言をかなえてもらい着任しました。オリックスのCEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)などの真下で、オリックスのポートフォリオ経営を学びました。リーマンショックの前後に在籍していたので、血肉となるような経験を多くさせていただきました。

将来の事業戦略に資する、新たな新機軸をつくるというM&A(企業の合併・買収)、買収・売却、そしてハンズオン経営を担当しました。IT、データセンター、広告会社、IT教育、異業種に対する事業感覚や株主サイドの経営目線を身に付けるきっかけになりました。買収サイド、被買収サイドの経営者の気持ちを垣間見ながら経営管理業務を経験させてもらいました。

古巣の損保会社の経営会議に参加し、そのTOB(株式公開買付け)も一人で担当しました。AIGとの共同経営PMI(Post Merger Integration/M&A後の統合プロセス)、オリックスグループの事業計画策定なども担当させていただきました。

オリックスグループの自由の気風の中で鍛えられた自立心
その後、支店の責任者を経て、直近では、オリックス連結子会社の燃料・ETCカード会社の全部門の部長をさせていただきました。そこは株主目線から一転、現場目線、顧客目線で、社員一同が共に事業を行っていくというものでした。
この経験は、今となってみれば、中小企業の経営者となるトレーニングになっていたと感じています。

オリックスグループのいいところは自由に考えたことを自立してやっていけるところです。
カード会社のKPI(重要成果指標)を設定して5年間で180%の利益成長も果たしました。原価を下げること、提携先を増やすことなど、いろんな工夫をし、営業マン350人の気持ちを汲み取りながら、どうやったら会社を成長させることができるかということも体験させてもらいました。

経営者目線で仕事を振り返ってみると、株主目線、従業員目線、事業現場目線、それぞれの立場を経験しました。
プロ経営者になりたいというのは30代半ばからの志でありましたので、このような機会と出会ったのだと思います。言い換えれば、プロ経営者になるために、今までのオリックスグループでのキャリアの中で経験できるものを自ら希望して取捨選択してきたといえると思います。

「将来社長になる」と手帳に一行書いたのは27歳の時です。定義は何も決まっていませんでした。
ベンチャーなのか、中小の社長なのか、大企業の経営なのか、この半年、どこで経営のお仕事をさせていただくかということを考えてきました。

Q 代表就任に至った経緯を、なぜ就任しようと決断したのか

私は今年48歳で年男です。延期されましたが、2020年はオリンピックイヤーでしたし、ちょうど庚子(かのえね)という年でしたので、何か始めるにはいい年になると考えながら、47歳を過ごしていました。
そのような時に人の紹介もあって日本プライベートエクイティ(JPE)の社長と出会ったのですが、そんな中でもずっと悩んでいました。
大企業なのか、中小企業なのか、中堅企業なのか、ファンドでいえばPE(プライベート・エクイティ)事業承継系なのか、ベンチャー系なのか外資系なのかと……。

悩みながらも、いろいろな出会いの中で、今回のコミュニティセンターのお話は、プロ経営者としても、自立した個人としても携われる、社会的に意義があるものだと感じました。

1月生まれなので、1月に決断しようとも考えていました。このお話がちょうどタイミングよくピッタリ来たのも縁だと感じています。
裏話になりますが、株主さんの代表者と初めて会った日が偶然にも株主さんの創立20周年記念日でした。お会いして長いわけではなく、会って2カ月後にこのお話を頂けているので、非常にご縁を感じたのは事実です。自分で考えてきたタイミングでもありますし、そこに訪れた人の縁というものを大事にしたいなという気持ちもありました。

中小企業の事業承継問題、高齢化社会という、2つの社会的意義の担い手として無限の可能性を持つコミュニティセンター
中小企業の事業承継問題は日本の課題です。そこに経営者としてコミットし、中小企業の第一人者になるということを今年の元旦、手帳に書きました。これは日本の事業承継問題にかかわる大義と考えました。
もう一つ社会的意義として、シニア向けのビジネスであるという点が大きいですね。高齢化社会を迎える中でシニア向けというテーマでビジネスができるということです。

例えば、コミュニティセンターにはすでにシニア向けのビジネスとして約900人のスタッフがいらっしゃいます。そこに無限の可能性も感じますし、菅前社長が築いてこられた、生涯現役といいますか、「働いて生きがいを感じる」ということ、やはりこれからそういうことが人生100年時代には必要なことだと感じました。
ビジネスモデル自体が高齢化社会に向かっていると感じたのです。
ここで自分がやりたい経営業、それが社会的意義を持つシニア向けであり、高齢化社会、事業承継問題というものに携われる唯一の立場だと感じたので当社への就任に至りました。

「自ら足を運んで『顧客第一主義』を貫いてまいります」

「中小企業のプロ経営者の第一人者となる」と2020年元旦、手帳に書く

Q菅前社長に対して

本当にお疲れさまでした。今までの歴史と実績、この 20年弱、一番難しい時にこの規模までつくってこられたことに対して尊敬の念を持っています。それを胸に、企業理念を引き継いだ上で、新しくスタートをしたいと思っております。

Q管理会社さまへの思いを

コロナショックの中でご迷惑をお掛けしたところでのバトンの受け渡しとなりましたが、お客さま、管理会社さまに対しましては、再度、安定的に長くお付き合いいただけますよう、誠意をもって着任し、信頼関係を構築できるよう精進してまいりたいと思っています。 
管理会社さまにとってのニーズ、マンションにおける現場の声をしっかり把握した上で、当社として準備すべきサービスメニューというものを考えてまいります。 
顧客目線で追求していくことを改めて宣言し、管理会社さまの声によりいっそう寄り添えるように社内体制を整えたいと思いますし、自ら足を運んで「顧客第一主義」を貫いてまいります。
現場にしか答えがないというものもあります。プロダクトアウトからマーケットインを心掛け、良いサービスメニューを追求していきたいと考えています。

Q登録スタッフの皆さまへの思いを

人生の大先輩である900人の皆さまに登録していただいています。さまざまなご経歴のかたがいらっしゃり、いろいろな考えをお持ちになってこの仕事に携わっておられると思います。 

まずは登録スタッフの皆さまと直接お会いし、フェイストゥフェイスでお話を伺いながらコミュニケーションをしていきたいと考えています。そこには 900人のかたがたが日々感じている現場でのニーズというものがあると思います。
そこで感じているシーズ(種)をヒントに、この会社にとってのプラスアルファをつくり出していただきたいと思っています。 

現在われわれが携わっている、マンション管理の代行業という業域を超えてでもプラスアルファを追加して見える化し、それが社会のためになり、スタッフの皆さんの生きがいにつながるような仕事を構築していければと考えています。

Q社員に対して

コロナ禍の中での就任ということもあり、会社としても私自身としてもいきなりアクセルを踏める環境下ではありませんし、少々アゲインスト気味の状況ではあります。
しかし逆境の時ほど人はその真価が問われると思います。
後々「あの時は大変だったよね。でもあんなふうに頑張ったよね」と、苦労したことを生き生きと話せる会社にしたいですね。

コミュニティセンターのバリュー(行動指針)を皆で作っていきたい

Qコミュニティセンターの今後について

オーナー会社から組織経営となっていくに当たって、多くの課題を私も気付きますし、社員の皆さんも気付いています。
今、全社員とワンオンワン(1on1)でミーティングを行っています。一人 30分、長い人は 1時間 2時間、話しています。社員の皆さんが感じている問題意識、菅前社長から引き継いだ内容、私に見えているものなど、それらの課題に今後着手していきます。 

人事制度や評価制度など、大企業では当たり前のものも当社にはありません。その点は重要ですので、まず制度を整備していきたいと思います。 

システムに関しては、大掛かりな投資にはなりますけれども、現システムから将来の新機軸のビジネスを想定した新システムへの移行を考えています。 

業務要件とともに、今現場が苦労していることもたくさん聞こえてきていますので、「こうありたい」というものを、社長自らもイメージし、それを乗っけられるシステムというものを作って、戦略性と効率化も図りたいと思います。 

組織経営以前のベースを整える必要がありますので、全社員一同、目線を合わせてコミュニケーションのスキルアップと共有の習慣を定着していかなければなりません。 
10月 1日から次の期に入ります。それまでには事業計画も策定、想定し、同じベクトル、同じモチベーションで始めたいと考えています。社員にとっても、成果の上がったものはきちっと還元されるという制度というものを構築して、オーナー会社ではなく社員もステークホルダーだというような目線で経営ができるようにしていきたいと思っています。

オープンマインドで意識をリンクしていきたいと考えていますので、オフィス自体も考え直さなければなりません。人材育成、教育研修というところに力は入れていますが、ウィズコロナの時代を想定して、今後どのように人を増やしていくのか、その工夫が求められます。

人の数に起因して業績が伸びていることも事実です。クオリティーを担保しながらどのように増やしていくのか、そのためには人の数も足りませんし、そこの連動性も弱いと思いますので、教育に重点を置いて高品質の巡回を配備していくといようなことを心掛けなければならないと思っています。

現場のクレームは宝の山です。宝を探し当てて、工夫しながら顧客満足に向かうというところでは、まだ組織内にもそういう構想がありません。そこは本来愚直に向き合わなければいけないことだと感じています。

「シニア人材の社会的知見の還元や創造を、新機軸としてチャレンジしたい」

Q社長としてどのような会社にしていきたいか

菅前社長が築かれた「マンション管理代行のパイオニア」からクオリティーリーダーという、他にはないものを加えて構築していきたいと考えています。
管理会社さまも「安心・安全・信頼」を求めていますし、「安心して頼める」「安定して供給できる」「ずっとここに依頼したい」という登録スタッフとの関係性が「クオリティー」なのだと感じています。巡回指導員を配備して現場に寄り添うビジネスモデルもありますし、そこを強化し、意識することでさらにクオリティーを高める仕組みというものを考えていきたいですね。既存ビジネスではクオリティーを追求したいと思います。

そしてその先には新領域の開拓があります。高齢化社会、シニア時代にあって、シニア人材の社会的知見の還元や創造を、新機軸としてチャレンジしたいと考えています。高齢化社会におけるシニア人材の活躍や社会とのつながりを意識することが人生の幸福や生きがいになるとするならば、そこにいくつもの新機軸を立ち上げていくことで、社会的にも当社の業績的にも無限の価値をつくり出す新規ビジネスの可能性を見いだすことができます。

以上の内容を実現するためには、行動指針が非常に重要だと思っています。暗黙知でつながっているフラットな組織が一番強いとすれば、そのような組織に向かうためには行動指針が必要です。

GE(ゼネラル・エレクトリック)バリューのような、CC(コミュニティセンター)バリューを作っていきたいですね。GEさんと比較するには歴史と内容が違い過ぎますが、当社に必要な行動指針を社長だけでなく全社員で共に作っていきたいと考えています。